川を流れる水のようなベトナムのバイク?
ベトナムにはバイクがとても多く、それに比べて車の割合は少ない。
それを川に例えれば、車は川に浮かぶボートのようで、バイクは川を流れる水のような感じだ。
川幅一杯に水が流れて平野になれば川幅を広げるように、バイクは道路幅一杯に広がって走り、交差点になればさらに幅を広げて様々な方向に自由に進んでいく。
しかし、低きに流れるという川なら一定の方向性しかないので問題はないが、道路には反対車線も交差点もあるので、自由なばかりではあちこちでトラブルが発生するのは必至だと言えるだろう。
ルール無視のベトナムのバイク
しかし、ベトナムのバイクはまるでルールを無視するかのように自由に走っている。
進路変更でルール無視
例えば右折の場合で考えてみると、まずはウィンカーを出して後方を確認し、そして右側に車線変更をする。それから対向車線を確認して徐行または停止をし、安全が確認できたら右折するというのが基本的な手順だ。
ところが、ベトナムのバイクはウィンカーも後方確認も車線変更もなしで、対向車が来てもクラクションを鳴らして強引に突っ込んでいくというケースがとても多いと感じる。
合図もなしに斜行を始めて右折に入るとなると、後続車は追突しないために、そして対向車は衝突を避けるために、いずれもブレーキによる減速が強いられるわけだ。
掟破りの並列走行
二輪車は転倒の可能性があるので並列走行は禁止されているはずだが、ベトナムではバイクが当たり前のように掟破りの並列走行をしている。
片側2車線の場合は左側の車線が車で右側の車線はバイクが多いのだが、1つの車線で3台か4台の並列走行は当たり前だ。そして、それにも飽きたらなければ車が走る左側の車線にも並列走行の幅を広げていく。
安定の悪い二輪車で並列走行するとなれば、接触による転倒の危険は常に満載状態だ。
こうした状況にあって他人の運転技術も信頼できないとなれば、クラクションで注意を喚起して少しでも危険を回避しようというのは当然の行動かもしれない。
右側通行の大原則さえも怪しい
「人は右、車は左」というのが日本の大原則だが、ベトナムでは車は右を走るのが大原則のはずだ。
しかし、その大原則さえもベトナムでは怪しいもので、道路を逆走するバイクはあらゆるところで目に入った。
それでも、遠慮しながら路肩を走るのならばまだしもだと思うが、堂々と車線の真ん中をクラクションで威嚇しながら逆走してくるバイクもあるので、頭が狂っているのではないかと思うほどだった。
ノロノロ運転が常態化
女性蔑視をするつもりは毛頭無いのだが、女性のバイク運転者の中には明らかに運転技術が低いだろうという人も少なからずいたように思う。
ひたすら前方だけを見て車線の真ん中をノロノロと走っているのだ。
前方だけを見るのは右や左に注意を払う余裕がないからで、車線の真ん中を走るのは路肩の障害物を躱すのが大変だからで、ノロノロと走るのはスピードを出すのが怖いからだろう。
こういう人が混じって並列走行しているのだから、危なっかしくてスピードを出すことができるわけもない。
だから、街中の車の流れは時速30キロに満たないノロノロ運転が常態化している。
横断歩道で気を抜くな!
ベトナムでは「歩行者優先」などという考え方はさらさらなくて、常に強者である車やバイクが優先のようだ。
だから、道路を横断するときには車やバイクの切れ目をしっかり確認して渡らなければならない。それは横断歩道であっても同じことだ。
多くの運転者の基本的な意識は歩行者を追い払って走るというものだから、まれに止まってくれる車やバイクがあったとしても、その脇を別の車やバイクがかっ飛ばして行くから安心はできない。
道路を横断する歩行者は決して気を抜いてはならない。
強者のエゴは歩道にまで及ぶ
車道は危険がいっぱいならば歩道はどうかというと、そこにも大きな問題があった。
歩道を塞ぐ形で車やバイクが駐車していたり、あるいは露店が歩道の大半を占有していたりするので、それらを避けるために至る所で車道を迂回しなければならないのだ。
それなのに、車道に足を踏み出せば、その途端に邪魔だ邪魔だとクラクションに追い立てられる羽目になる。
強者である車やバイクのエゴが歩道にまで及ぶとは、全くもって理不尽な話だ。
交通ルールやマナーの教育が求められる!
ベトナムの都市の交通は危険と騒音が満載なのにノロノロ運転だが、これは圧倒的な数のバイク運転者に交通ルールやマナーの意識が致命的に欠如しているからだろう。
危険な並走や逆走を止めさせるとともに安全な進路変更をさせるには、まずは交通ルールの教育が求められる。
また、歩行者の優先や駐車違反の禁止という交通マナーの教育によって、強者のエゴがまかり通るという状況をも変えなければならない。
運転者も歩行者も常に緊張を強いられるという不快な現状を変えることができれば、旅行者はベトナムをもっと好きになるだろうから、そうなれば観光客がもっと増えて経済的にもより豊かになるに違いない。